中小企業診断士試験の答練でミスを繰り返さない方法!失敗学に学べ!

2020年11月4日

「多年度受験」ってググったことありますか?

それって大学の医学部入試のこと?司法試験のこと?司法書士試験のこと?

いいえ。上位に出てくるのは別の資格です。

それは「中小企業診断士」です。

世の中にはもっとメジャーでかつ競争倍率が高い試験がたくさんあるのに
なぜ中小企業診断士が検索にたくさんヒットしてしまうのでしょうか?

その一番の原因は二次試験(筆記試験)の解答が公式に発表されないからだと思います。

なぜ試験に落ちたのか、どこを間違えたのかが分からずに永遠と迷路を彷徨う。

そんな迷路に迷い込んでしまった、もしくはその入り口に来たあなたに対して、
合格者(201X年試験、2回目の試験で合格)の立場から攻略法をご教示させていただきます。

受験年度に依らない普遍的な内容を記載していますので、
ぜひ最後までこの記事を見てもらえればと思います。

こんな中小企業診断士試験受験生はぜひ記事を見て!

下記に当てはまる方を想定して現状の打開策を提示します。

資格予備校に通っていて、先生の言っている内容は理解できる。
でも、答案練習(答練)を何度やっても正答できず成績が上がらない。
結果として、中小企業診断士の多年度受験生になっている。

まず、「資格予備校に通っている」ことを前提条件としています。

上述の通り、中小企業診断士の二次試験には正解が発表されません。
問題の趣旨が発表されるだけです。

そもそも正しい答えは出題者側しか持っておりません。

そのため、受験生がたどり着けるのは、「正しいと思われる答え」です。

それでは、この「正しいと思われる答え」は誰が持っているのでしょうか?

それは、資格予備校とその先生です。

資格予備校に通う受験生は二次試験後に「再現答案」という自身が本試験で解答した内容を事後的に復元した答案を作成し、資格予備校に提出します。

先生は合格者の再現答案から「正しいと思われる答え」を導出し、
翌年の指導方法に反映させます。

つまり、資格予備校や先生には「正しいと思われる答え」が集積されます。

資格予備校に通う理由はこの「正しいと思われる答え」に基づく指導を受けるためです。

中小企業診断士への早期合格のためにはこの資格予備校に通うことがほぼ必須だと思っているため、前提条件とさせていただきました。

大手でも中堅でも個人塾でもどこでもよいです。
ググってみて合格実績・金額等で良さそうなところを選んでください。

次に、「答練で何度やっても正答できず」についてです。

答練で正答できなければ本番で正答できる道理がありません。

そもそもなぜ答練をやるのか?

先生(師匠)の思考を理解し体得して実践可能な状態にする」ためです。

答練の目的やその振り返り方法が曖昧なまま、ただ答練をこなすだけ
になっている方が多いと思います。

そして焦るのです。
あれだけたくさんあった答練の回数が残りわずかになっていることに…

そこで、この記事では「答練の振り返り方」にフォーカスしていきます。

なぜ答練で同じようなミスを何度も繰り返すのか?

結論をいうと「一般化」ができていないからです。

すなわち、間違ったその問題でしか通用しない振り返り方しかできていないのです。
いわゆる「対症療法」となっており、「根本治療」に至っていません。

だから、ちょっと問題の味付けを変えられると途端に間違ってしまいます。

失敗から「一般的な法則」を導き出し、他の問題に適用させることが重要です。

ではどうやって答練の振り返りの中でこの「一般化」を行うのか?

その説明の前に「失敗学」の説明をします。

失敗学を答練の振り返りに活かす!

失敗学って何?

失敗学は不具合事象の原因分析方法の一つです。
詳細はこの記事では説明しきれないので、試験に役立つところだけかいつまんで説明します。
※ぜひ、失敗学 実践編(濱口哲也・平山貴之 著)をご覧ください。
 170ページくらいの短い本ですが内容は濃厚です。実践しながら読み進めてみてはいかがでしょうか。

人間の考え方や行動を分析し、失敗から失敗のカラクリ(ハマりやすいワナ)を見つけ出し、これに対して対応策(成功のカラクリ)を立案し、まだ見ぬ失敗を未然に防ぐというものです。

失敗のカラクリ(ハマりやすいワナ)対応策(成功のカラクリ)を考えること(=一般化)で、個別の不具合事象への対症療法に止まらない根本治療を目指すものです。

少し具体化して説明します。以下の「不具合事象に至る樹形図」を見て下さい。

不具合事象に至る樹形図

失敗学の要点は、不具合事象に対する個別対応(対症療法/チェックリスト)ではなく、上位概念のワナに対して対応策を打つ(根本治療/考えの修正)ということです。

対症療法しかやらないからちょっとケースが変わるとまた失敗してしまいます。

中小企業診断士の話に移りますが、なぜストレート合格ができるのかわかりますか?

ストレート合格者は「根本治療」を8月の一次試験終了後〜10月の二次試験開始前までの僅か二ヶ月強の期間でしっかりやっているからだと私は思います。

失敗学の流れ

失敗学の流れは以下の通りです。

(1)動機的原因[○○で行ける!○○でOK!と考えた] ○○だから
↓考えと行動の関係を解明するために人間を分析する
(2)人間の行動(失敗行動)[設計者がその部品を設計した等] ○○をした

(3)失敗のカラクリ(ワナ)[○○という考えと行動ではXXが起こる]
↓だから、XXが起こった
(4-1)不具合事象(行動の結果、必然的に起こる現象)[その部品に応力が働き破損]
↓※(3)から ところがどっこい△△という失敗のカラクリが待ち構えていた→成功のカラクリ
(4-2)再発防止策・未然防止策[○○と考えた時に気づけ!○○と考えがちなものを探せ]

これだけじゃ何を言っているのかわかりませんよね。
そこで、本の中で書かれたケーススタディを一部紹介させていただきます。

ケーススタディ

まずは、下記のケーススタディ(配薬ミスのヒヤリハット)をご覧ください。

言い訳たっぷりのヒヤリハット報告書
○月X日、午後0時45分頃、看護師は入院患者AさんとBさんを昼食のために食堂に連れて行く。食前薬を渡す際に、まず誤ってAさんにBさん用の薬を手渡した。
それに気がつかず、次にBさんの薬が見当たらないので薬局に探しに行っている間に、AさんがBさんの薬を服用するところだったがギリギリ間に合った。
(今思えば、Aさんに)薬を手渡す際に「Bさんですね」と問いかけたところ、「はい」と答えられたので安心して渡してしまった。よく考えれば、AさんもBさんもご老人でお顔がよく似ておられたことに加え、お2人とも入院したてであったため、看護師はお2人の顔も名前も完全に覚えていたわけではなかった。さらにお2人とも耳が遠く、運が悪いことに入れ歯を外されていたのでなおさら区別がつきにくかった。間違えた時には回収優先であることを知ってはいたが、まさか間違って手渡したとは思いもしなかったのでBさんの薬が出ていないのではないかと薬局に確認しに行ってしまった。
この確認に行った行動が悔やまれる。

失敗学 実践編 第2章 失敗学のエッセンス

このケースの動機的原因(=言い訳=その行動が正しいと考えた理由)
①「Bさんですね?」と聞いたら「はい」って言ったんだもん!
②お顔を見てBさんだと思ったんだもん

その行動が正しいと思った理由を言い訳として表現することで動機的原因を明らかにする。
そこから、その動機的原因が通用しなかった理由を分析することで、
看護師がハマったワナがわかってきます。

今回はまったワナ(正しいと考えた理由が通用しない理由)
①耳が遠いお年寄りは聞こえていなくても「はい」と答える恐れがある
②お年寄りの顔はよく似ている
②入院患者の顔を覚えていたつもりであるが、間違えて覚えていた
②入れ歯を外せば別人の様に顔が変わってしまう

動機的原因とワナをセットで記載しました。
このワナによって正しいと考えた理由そのものがナンセンスになってしまいます。

このワナを考えず、
①2回、本人確認を行う。
②患者の顔を写真に撮って見返すことでしっかりと覚える。

という対策を打ったらどうなるでしょうか?
また同じことを繰り返しますよね??

答練の話に移りますが、こういう振り返りをやりがちなのです。
せっかくいい先生に習っているのにすご〜く勿体無い!

失敗学のフレームワーク

フレームワーク化することで一般人も失敗学を使えるようになっています。

(起=動機的原因※言い訳のようなもの)
お顔とお返事でBさんだと思った
↓だから

(承=失敗行動)
看護師がある患者にBの薬を渡した
↓ところがどっこい

(転=今回のワナ)
声掛け(YESマン)と顔(区別つかない)による本人確認が通用しない
更に一般化すると「ベットから離れたら患者識別不能」

つまり、失敗のカラクリ(ワナ)は、
「本体とラベルを分離したら本体識別不能」
↓だから

(結=不具合事象)
食堂で配膳ミスのヒヤリハットが起こった ←分析対象の不具合事象
↓失敗のカラクリの反転

成功のカラクリ(対策という上位概念
本体(人なり物なり)にラベルをつけろ
↓少し具体化
採血等に置いて検体を入れる前に容器にラベルをつけろという手順書

下位概念(事例)
採血容器で検体の取り違え
↑成功のカラクリという上位概念を見つけることで別の下位概念(事例)の発生も予防可能

失敗学のフレームワークを使った答練の振り返り

それでは、実際に失敗学を使って間違った問題の振り返えっていきましょう!
※答練の問題が手元にないので、2019年度二次試験(事例I 第4問)を例に考えていきます。

まずは「設問」、「間違った解答」、「模範解答」を記載します。

【第4問の設問文】

新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

【(仮)自身の解答=間違った解答】

事業ドメインを農作物の乾燥という形で明確化し活動する事業分野を規定することで経営資源の選択と集中を行った。加えて、事業展開の方向性を明示し、従業員の意欲を同じ方向に集中させることができたから。

模範解答(中小企業診断士 consul-circle.の解答)

理由は①古参社員への退職勧告による経営に対する危機感の醸成、②成果報酬による適正な評価体制の導入、③A社長による社員へのコアテクノロジーとビジョンの共有により、営業社員のモラールが向上したからである。

どうやったら模範解答の様に解答できたのか?

それでは、失敗学に基づいて↑の振り返りを行なっていきましょう!!
Let’s get started.

※完璧な振り返りではないですが、1ケースずつ試行錯誤して上達していくことが大事!

(起=動機的原因※言い訳のようなもの)
なぜその解答をしたのか言い訳してみよう!だって、○○と思ったんだもん!

事業領域を明確にしたって記述がある!これはまさに「事業ドメイン」のセオリーの問題だ!
事業ドメインが明示されたことにより、従業員の意欲の矛先が一点に集中したから、
新規事業に積極的に取り組むようになったのでは?と思った。

第4問だからそろそろ人事・組織的な問題が来るはずだけど、
明確なキーワードがあるからあってるでしょ?!

つまり、「事業領域」というキーワードがあったから、
「事業ドメイン」のセオリーベースの解答をしようと思った。
↓だから

(承=失敗行動)
「事業ドメイン」のセオリーをチョイス
↓ところがどっこい

(転=今回のワナ)
ここは承・結を明らかにしてから考えた方がわかりやすい。
承→結に至った、「ハマりがちなワナ」があったはず!それを考える。

従業員が新規事業に積極的に取り組むようになった要因は?」という組織論(人事考課)での解答を匂わせるようなキーフレーズがある一方で、経営戦略論の直球のキーワード「事業領域(事業ドメイン)」が登場していた。
そろそろ組織論来るかなとも思ったけど、直球のキーワードがあったのでそれを使ってしまった。

第5問の「組織再編」のように直球で組織論での解答を促すキーワードがあればちゃんと組織論で解答できた。でも、今回のようにキーフレーズ(キーワード)が複数あるとより強く直接的に明示されているものを選択してしまう。

つまり、失敗のカラクリ(ワナ)は、
組織論での解答を匂わせるキーフレーズ
vs
経営戦略論の直球のキーワード
で、「経営戦略論の直球のキーワード」が勝ってしまう!

つまり、『設問構造にマッチする弱いキーワード 設問構造にマッチしないが強く直接的に示されているキーワード』の法則
なんでハマってしまったのかを法則化することがすごく大事!
↓だから

(結=不具合事象)
経営戦略論のセオリーを用いた解答を作成してしまった。
すなわち、模範解答のように組織論のセオリーを用いた解答を作成できなかった。
セオリーの取り間違え事故が発生!

・模範解答 :組織論(下のレイヤー)に基づく取り組み→モラール(やる気)向上
・自身の解答:経営戦略論(上のレイヤー)に基づく取り組み→従業員の意欲の矛先とマッチ

↓失敗のカラクリの反転

成功のカラクリ(対策という上位概念)
失敗のカラクリを見つけただけでは、次の失敗を防げない。
これを裏返して教訓化することが大事!
こういうワナがある→こうすればワナを避けられる」を考える。

「設問構造を意識してキーワードの重み付けをしろ!」

※設問構造は資格予備校に通っていればほぼ習う内容です。
※今回は第四問!設問構造的には組織論を使って解答する方針にすべきだった。

<事例Iの設問構造>
上位レイヤー→下位レイヤーに綺麗に下がる設問構造になっている。
・第一問〜第三問:上位レイヤー
 経営環境分析(内部環境/外部環境)、経営戦略(企業戦略、事業戦略)
・第四問〜第五問:下位レイヤー
 組織構造(部門構造、権限関係等)、人的資源管理(人事考課、給与)

↓少し具体化
事例Iの他の問題、事例II・事例III・事例IVの設問構造をまとめる

下位概念(事例)
事例Iの他の問題、事例II・事例III・事例IVの問題におけるセオリーの取り違え
↑キーワードの選択ミスによるセオリーの取り違えを未然に防止できる

まとめ

失敗学による答練の振り返りはいかがでしたでしょうか?

答練を解いている時よりも全然脳みそに汗を書きます。

ワナを見つけ、どうしたらまだ見ぬ似たような問題で同じようなミスを防げるか?

これを常に意識しながら一問一問全力で答練の振り返りを行う。

何回も下位概念⇄上位概念、つまり一般化と具体化を繰り返すうちに
答練の振り返り精度が上がってきます。

これにより段々と先生と同じ考え方が身につき、答練の成績も上がってくると思います。

最初の資格予備校や先生選びも大事ですが、先生の考え方を吸収することはもっと大事であり、この吸収率を上げる方法として「失敗学を取り入れた答練の振り返り方法」を紹介しました。

最後に

中小企業診断士の二次試験は鬼門だと思います。

私自身、二年間資格予備校に通っており、飲み会やクラスでの雑談の中で「多年度受験者」の話は何度か耳にしました。

また、学業や仕事と並行しながらの受験勉強は本当に辛いです。

私も22時過ぎに帰宅した後さっと夕飯を食べて、
眠たい目を擦りながら勉強に精を出した記憶があります。

土日祝日もず〜っと勉強していました。

こんな生活をずっと続けるわけにはいかないので、諦めることも大事だと思います。
別にこの資格がなくたって死にはしません。いくらでも挽回できます。

でも、諦める前に自分の勉強プロセスを見直してみませんか。

本記事がそのきっかけとなれば幸いです!